どんな作品か
『別れる決心』は、パク・チャヌク監督が2022年に発表した長編映画です。ある男性の死を捜査する刑事が故人の妻と出会い、疑いと惹かれる気持ちが同時に育っていくという枠組みを持っています。刑事役はパク・ヘイル、妻役はタン・ウェイ。脚本はチョン・ソギョンとパク・チャヌク監督の共同で、二人は『親切なクムジャさん』『渇き』『お嬢さん』でも組んでいます。捜査劇の骨組みにメロドラマを重ねた作品なので、どちらか一方のジャンルだけを期待すると、予想とは違う体験になります。
パク・チャヌク監督が2022年に発表した恋愛と捜査の物語。暴力ではなく視線と言葉で緊張を生む作り方を整理しました。
『別れる決心』は、パク・チャヌク監督が2022年に発表した長編映画です。ある男性の死を捜査する刑事が故人の妻と出会い、疑いと惹かれる気持ちが同時に育っていくという枠組みを持っています。刑事役はパク・ヘイル、妻役はタン・ウェイ。脚本はチョン・ソギョンとパク・チャヌク監督の共同で、二人は『親切なクムジャさん』『渇き』『お嬢さん』でも組んでいます。捜査劇の骨組みにメロドラマを重ねた作品なので、どちらか一方のジャンルだけを期待すると、予想とは違う体験になります。
『オールド・ボーイ』や『お嬢さん』を思い浮かべてこの映画を見ると、まず表現の強さが大きく抑えられていることに驚きます。露骨な暴力や露出の代わりに、まなざし、手の動き、会話の間といった小さな要素で緊張を作ります。感情を直接言わずに遠回しに言ったり、まったく別の言語で語ったりする瞬間も多くあります。刺激に頼らない分、観客に画面をより丁寧に見させるやり方で、パク・チャヌク作品が初めての人にも比較的入りやすい一本です。
この作品の大きな軸は、母語の違う二人の会話です。一人は韓国語が得意ではなく、翻訳アプリに頼ることもあれば、正確な単語の代わりに少しずれた表現で気持ちを伝えることもあります。このずれのせいで、ありふれた文がなぜか長く心に残り、同じ言葉でも聞く人によって受け取り方が変わります。字幕で見るときも、元のせりふがどの言語で話されているかを意識すると場面の手触りが変わります。字幕だけでは伝わりにくいニュアンスがあることも知っておくとよいでしょう。
パク・チャヌク監督の映画らしく、画面構成はきわめて緻密です。人物が直接見ていないものをカメラが代わりに見せたり、一人の想像と現実が同じ画面に重なったりする場面がいくつもあります。せりふより先に画面が感情を語ることが多いので、一度ですべてをつかもうとするより、二度目の鑑賞で新たに見えてくるものを楽しむのがおすすめです。
撮影はキム・ジヨン、音楽はチョ・ヨンウクが担当しました。チョ・ヨンウクは『オールド・ボーイ』をはじめ、パク・チャヌク監督の多くの作品に参加してきた音楽監督です。劇中ではチョン・フニが歌った「霧」という歌が重要な場面で使われ、題名のとおり霧は映画全体を包むイメージにもなっています。山と海、霧と水といった自然のイメージが繰り返され、場所の空気が人物の感情の変化と結びついていきます。
捜査劇として見れば事件の真相が気になり、恋愛劇として見れば二人の関係が気になります。この映画は二つの問いをずっとかみ合わせたまま進みます。真実を突き止めることが、そのまま関係を壊すかもしれないという緊張が作品全体を引っ張っています。そのため犯人探しの爽快さを期待した観客には遅く、恋愛を期待した観客には冷たく感じられるかもしれません。二つのジャンルの境目に立つ作品として受け止めると、ぐっと楽しみやすくなります。
刑事が相手を「見守る」行為が、ある瞬間から別の意味を帯び始めるところを意識してみてください。観察と監視、関心と執着の境目こそ、この映画が扱う感情の核心です。主人公が繰り返す習慣や持ち物、何度も出てくる場所を覚えておくと、後で同じ要素が違う形で使われる瞬間に気づけます。せりふの一つひとつが後でよみがえるように組まれているので、心に引っかかった言葉を覚えておくのもよい方法です。
事件現場や遺体が映る場面があるので、年齢区分を確認しておくとよいでしょう。ただし、これまでのパク・チャヌク作品に比べると直接的な描写はずっと抑えられています。結末の解釈はいくつにも分かれ、解説記事の多くは結末を前提にしているため、初めて見るなら鑑賞後に読むのがおすすめです。せりふのニュアンスや小さな音が大切な作品なので、騒がしい場所より静かな環境で集中して見ることをすすめます。
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